2013年7月17日水曜日

"Maps"

7/14、名古屋でライヴをした。
"Day In Day Out"というイベント。ジャンルに囚われず、いつもいろんな出演者が集っていて、何年も続けてきた主催の大西くんのエネルギーは本当にすごいと思う。
嬉しいことに、このイベントを始めることになったきっかけは、「STSを名古屋で観たかったから」だと言ってくれていて(実際、第1回目に出演させてもらっている)、私にとっても特別なものになっている。

今回のライヴは、演奏にすごく集中できたような気がする。
演奏しながら、ある事を考えていたのだけど、それが結果的に集中力を引っ張って来てくれたように思う。

ライヴの翌日、友達が「Twitterで、STSの昨日のライヴはYeah Yeah Yeahsみたいな感じだったって言ってる人がいたよー」と教えてくれて、私はとてもびっくりした。
ひとまず、あんなにエネルギッシュなパフォーマンスをするバンドを例に出してもらえる、みたいな単純な驚きと恐縮は当たり前にあるとして、それとはまた別の理由でびっくりした。

名古屋に行く数日前に、なぜか突然、彼らの"Maps"という曲のMVが観たくなって、深夜にぼんやり検索をして、ベッドに寝転んでそれを見始めた。
そのビデオは今までにも何度か観たことがあったから、どんな内容かはもちろん知っていたけれど、久々に観るというのもあってか、その夜は妙に引き込まれていった。

そして、途中で、泣いてしまった。

そこに映る彼らを見ていたら、最近ずっと考えていたことの答えが、自然と自分の中で目を覚まして、どんどん存在感を増していった。
「音楽を、素直にやりたい」という気持ち。

彼らの曲やたたずまいには、嘘がないように感じた。それによって得られる存在価値というか、オーラのようなものを、その作品から感じた。

単純に、曲とか、カレンのパフォーマンスとか、そういうことへの好みというのではなくて(あ、もちろん好きなんですが)、もっとそれ以前の、「嘘がない音楽をやっている人たちのオーラ」に圧倒された。
それがたまたま"Maps"を演奏するYeah Yeah Yeahsだっただけで、ほかのバンドのビデオでも、それを感じることはできたのかもしれないけど、とにかくその日の夜は、彼らに(細かくいえば、その当時の彼らに)救い上げられたような気持ちになった。そのときの自分が欲していたものを、示してもらえたから。
自分の中の純度を保って、堂々としていること。音楽を素直に作っていくことで、私はそれを保っていけるような気がする。

ここ最近、ネガティヴに考えたり、いろんなことに対してシビアになりすぎたりして消耗気味だったけど、やっぱり、根本的な欲求に素直になっていくしかないんだと思った。

そしてライヴ当日の土曜日、演奏してたらふと、カレンのことを思い出した。彼女のように、自分そのままのエネルギーで演奏しようという気持ちになった。
そうしたらすごく集中できたし、リラックスもできた。

だから、そのライヴを観てくれた人の感想にYeah Yeah Yeahsの名前が出てきたというのは、不思議なリンクで、びっくりした。今までそんなこと、言われたこともなかったのに。


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Yeah Yeah Yeahsは、世界的に成功していて、その結果、今ではもう食傷気味なムードもちょっとある気がするんだけど(実際、私も"Fever To Tell"というアルバムしか好きじゃなかったりする)、デビューから数年間の彼らの魅力って、リアルタイムで体験してきた人たちにとっては、けっこうなインパクトだったと思うし、あの生々しさは、今でもたくさんの人の中に爪痕を残してるんじゃないかなと思う。

"Maps"にはもう一つ思い出があって、たぶん6〜7年前、私とアミちゃんがまだ仲良くなって間もないとき、初めて一緒にカラオケに行った。新宿のカラオケボックスで、深夜〜朝まで、Sonic YouthだのPrimalだのを歌って大騒ぎして、もちろんYeah Yeah Yeahsも歌ったんだけど、たしかそのお店には"Maps"は入っていなくて。だから帰り道、明け方に、まだ人通りのない新宿通りを、カラオケのテンションが下がらないまま(酔ってもいたし)、2人で大声で"Maps"を歌いながら帰った。楽しかったな。

美しい音楽は、人生にちゃんと入り込んでくる。




S.T.S.