おもしろすぎて、いろんなことが手につきませんでした。
それが予測できたので買うのをずっとためらっていたのですが
冬が終わる前にやっぱ読みたい…
と我慢しきれず2月の末に、冬すべりこみで購入。一瞬で読了。
ああ、おもしろかった。
そしておそろしく哀しい。
「あまりにリアリスティックにすぎる」
と出版社に突き返される原稿。
高額な原稿料の代わりに求められるハッピーエンディング。
(この図式は、時代や創作のジャンルが違えど、しぶとく
生き残っていそう。)
その現実と葛藤しながらも、フィッツジェラルドが
「書きたいものを書く」という一線にこだわった作品が
しっかりとここに存在していることが嬉しい。
村上春樹は、フィッツジェラルドのその姿勢を
「小説家としての本能であり、良心」と讃えていて、
すごく良い表現だなと思った。
救いようのない哀しい物語でも、その中身がとてもいきいき
しているのは、作家がその本能と良心(と情熱)をもって
創作した作品だからなんだと改めて納得。
そしてそんな作品こそが、受け取る人に本当の意味での
ショックを与えるのかも、と思いました。
S.T.S.